SBS事案無罪判決(川上弁護士担当)

大阪地方裁判所第6刑事部合議係は,生後4か月の子の頭部を揺さぶるなどした疑いがかけられた母親の女性に対し,令和2年12月4日,無罪判決を言渡しました。

同判決では,子に生じた出血等は,故意の暴行によるものではなく,事故である具体的な可能性があると認定されました。

検察側医師の証言については「その前提とする,頭部の受傷状況の把握が必ずしも正確でないことが弁護人からの反対尋問によって明らかにされている」と認定されています。

また近時揺さぶりの根拠として用いられることが多い,多層性・多発性の眼底出血についても,「多層性・多発性の眼底出血が認められた場合に,当該子供の頭部に外力が加えられたか,また,加えられたとして,どの程度の外力であったのかを,どの程度推認できるかは判然としていないとみる余地が残されているといわざるを得ない。」と認定している点は重要です。

なお,同判決に対し,検察官控訴は無く確定しています。