家族が裁判員裁判の被告人となった

裁判員にどう伝え、納得させるか。そのための技術が求められます。

あらゆる事件で、結論を導く理由を準備しなければならないのは言うまでもありません。しかし、裁判員裁判では、それを一般市民の方にも判断してもらいます。言い分の食い違う2人の人間がいた場合、信用すべき一方を選ぶ基準は何でしょうか?

どちらもの話も「筋が通っている」ことは多々あります。簡単に白黒がつかない場合が多いのです。

一方の話に意味のわからない言葉が混ざっていたらどうでしょうか?聞き取りにくかったら?話が回りくどかったら?あるいは大げさだと感じたら?最初と最後で説明が変わっていたら?自信がなさそうだったら?

法廷で裁判員が目にする弁護人の一挙手一投足が、時に判断を左右します。

プレゼンテーションがうまくなければ伝わるものも伝わりません。どれだけ正しい理屈だとしても、裁判員がそれを聞いて直ちに理解し、共感できる言葉でなければ効果的ではないのです。

弁護人は、どの位置に立って、どこを向いて、どんな調子で、何から語り始めるべきなのか。

法廷における場面の一つ一つに、明確な戦略が必要なのです。私たちはその技術を日々研究しています。また法廷技術を伝えるための研修において、講師としても活動しています。