診療当時,60代の女性が,口腔外科を標榜する歯科医院において,
舌がんの疑いの診断を受けることができなかったために,
舌がんに対する治療の開始が遅れ,死亡に至った事案で,一部勝訴の判決が出ました。
患者さんは,歯科医院を約2か月間の間に複数回受診していましたが,
歯科医院では当初の「口内炎」との診断を見直すことなく「口内炎」に
対する治療を続けた結果,舌がんの発見が遅くなってしまったものです。
裁判所は,この事案で,歯科医院が初診時から約2~3週間後には
癌などをはじめとする口内炎でない重篤な疾患の可能性を認識して
転医を勧告するべきであったのにそれを怠った過失を認めました。
他方で,患者さんの死亡との因果関係を認めず,「死亡時点でなお生存していた
相当程度の可能性」が侵害されたことを認めて慰謝料300万円を認容しました。
なお,本事件は被告が控訴しています。
宇野弁護士は,所属する研究会でがんの見落とし事案についても研究しています。
がんに関連して医療事故の被害に遭われた,あるいは被害を受けたかもしれないと
思われる方がいらっしゃれば,お気軽にご相談ください。